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Panasonic Singaporeでのインターンの思い出3

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新しいプロジェクト

インターンを始めて以来9月までずっと画像認識を利用したAIを開発するプロジェクトに携わっていたのですが、その開発の目途がいったんついたということで、9月からは新たな組み込み開発*に関するプロジェクトをBさんと二人で行うことになりました。このプロジェクトはそれまでのものとは全く別のプロジェクトで、内容をざっくりいうと、あるソフトウェアの追加プログラムの不具合をデバッグし、それをパッケージにまとめて顧客に提供する、というものでした。

その中で自分の役割は、プログラムエラーの調査とそのデバッグ作業、顧客に提出する進捗状況に関するスライド資料作り(実際の説明はBさんがする)、そして進捗に応じて顧客へ渡すプログラムパッケージのリリース準備でした。
このプロジェクトの大きな特徴が、僕の成果物(資料・コード)が直接顧客側に渡るために、仕事の丁寧さと成果物のクオリティが厳しく求められる点でした。特に成果物のクオリティについては、「ここは日本の会社なので」とか「君は日本人だからわかると思うけど」と、「日本」が枕詞についたうえで、その重要性を説明され、昨今の日本の製造業の品質不正が横行している状況を考えると、なんとも言えない気持ちになりました。僕自身、これまでは日本企業の製品であっても海外拠点で生産されたもののクオリティについては正直「品質はどうなんやろ」と懐疑的に思う部分もあったのですが、少なくとも僕のいたPRDCSGではそんなことは全くありませんでした。たった半年の、しかも片手で数えられるくらいのプロジェクトにしか携われませんでしたが、その中での経験の限りでは、非常に丁寧な仕事を皆さんされていました。

とはいえ、この「クオリティの高さ」こそ、今回のインターンで僕が苦しんだ部分でした。自分自身、もともと完璧を求められる作業は得意ではないほうで、80%の出来なら十分満足するようなタイプの人間だったのです。だから、実際の仕事では作業の詰めが甘く、何回もBさんに「ここがおかしいね」とか「これが足りてないよ」と言われることがしょっちゅうでした。作業を重ねるごとにバージョンが増えていくので、自分が今どのバージョンで何の作業を行っているかをきっちりと把握することができず、結果として穴があるものを提出してしまうことが多かったのです。
このころは、自分については「ああ、自分って勉強は多少できても、結局仕事はできないタイプの人間やったのか…でも、エンジニアをあきらめたところでほかにできそうな仕事もなさそうやし、ほんまに人生どないしよかな…」となかなか深刻に悩んでいました。
と、特に同年代のインターン生、それもシンガポール人ではない学生が、ランチ時に流暢に英語をしゃべりながら、技術的な話をしているのをそばで見ていると、本当に周りの人が全員天才に思え、余計にここは自分みたいな無能がいるべきじゃ所じゃないな、と思わずにはいられませんでした。
そうはいっても仕事はこなしていかなければなりません。ただ、BさんからSlackで「ちょっと話したいことがあるから、今から電話いいですか?」と聞かれたときには、それだけで冷や汗が出てきて、おなかが痛くなったものでした…

そんな状況が続いた中で、ある日、Bさんが会社に来る時がありました。その時、「ちょっと今の仕事の状況説明してください」と言われ、簡単に説明したんですが、またその中に自分のミスがありました。
それに対し、これまでの度重なるミスが続いていたせいもあってか、Bさんは「うーん、今の状況が続くようでは、ちょっと一緒に働き続けるのは厳しいかもしれないね」と言われてしまいました。実質的な最後通牒に、結構へこみました。本当に、言われた直後は「ちょっと一緒に働き続けるのは厳しいかもしれない」という言葉が頭の中を何度もループしました。これには、言われたことそのものに対するショックもありましたが、Bさんにこういったことを言わせてしまったことに対するショックもありました。と、同時に「ああ、これはもうほんとに徹底して品質チェックをやるしかないな」とも思えました。

でも、残念ながら、それでもまた同じミスを繰り返してしまったのです。数日と立たないうちに、またBさんに提出したパッケージに対し、「これちょっとおかしくないですか?」と聞かれたときには「ああ、もう無理や、全部終わった…」と思い、恥ずかしい話、涙が出てきました。自分でも、これまでの仕事であまり会社のためになるようなことをしている実感はなかったし、逆に最近は迷惑ばかりをかけていて本当に情けないわ、申し訳ないわで参ってしまったんですね。

ただ、その涙をみたBさんは、内心焦ったのか結構丁寧に慰めてくれ、自分の失敗経験についても軽く話してくれました。そして、その後には社内の食堂でコーヒーをおごってもらい、仕事とは関係のない他愛のない話をしてくれました。その時はBさんのやさしさがうれしくもありましたが、「ああ、また気を遣わせてしまったなあ」という申し訳なさもある、複雑な気持ちでした。

ただ、Bさんはさすがでした。本当にどうしようもないくらい失敗続きだった自分にも、Bさんは僕を信用してくれて、その後のパッケージの仕事も全部任せてくれました。人間、ピンチの時こそ、その人の本当の力量が見えるものですが、その点においてBさんは本当に素晴らしい上司でした。
結局、それ以降は大きなミスもなく、なんとかプロジェクトがひと段落つくところまでもっていくことができました。当時の気持ちとしては、仕事が終わった達成感よりも、やっとこの仕事から解放されるという気持ちのほうが大きかったのを覚えています。そして、同時にもう少しこの会社で働き続けたいという気持ちも強く出てきました。

次回に続く

*冷蔵庫やテレビといった家電製品に使われるようなソフトウェアの開発のこと

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